応募書類をもとに再構成

GOOD DESIGN AWARD 2021

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​付属の布に代えて

ハンカチを用いた例

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デザインねもといさむ

概要

木製円筒の任意の穴に布を差し込み、動物や人の顔を作って遊ぶおもちゃです。赤ちゃんは、穴から布を引き出す行為そのものを楽しみます。付属の布に替えてハンドタオルを用いたり、色の異なる布を組み合わせたり、創造力と想像力を働かせて遊べます。シンプルで壊れにくいデザインに、永く愛着を持って遊んでほしい‥‥との願いを込めました。

It is a toy that you can play by inserting a cloth into any hole in a wooden cylinder to make faces of animals and people. Babies enjoy the very act of pulling the cloth out of the hole. You can use hand towels instead of the attached cloth, combine cloths of different colors, and use your creativity and imagination to play.I hope you will play with this attachment for a long time.

デザインのポイント

  1. 一枚の布が、色々な顔に変わる面白さ。ふろしき、あやとり、折り紙などに通じるシンプルな形の多様な変化。

  2. 幅広い年齢で遊べる。赤ちゃんは、木の穴から布を引き出すだけで楽しい。高齢者は、指を使って脳に刺激を。

  3. 主体的・創造的に遊べる。付属の布に替え、ハンカチや端切れで、ブリコラージュ的に自由な応用も可能。

 

デザインが生まれた理由/背景

《有り余るおもちゃ》 幼児が所有するおもちゃを調査して驚きました。どの家にもおもちゃが溢れかえっていたのです。「こんなにたくさん必要なの?」「商業主義に踊らされていない?」「飽きたら捨てるファーストトイ?!」 《量より質、おもちゃに愛着を》 この現状を、道徳的・直裁的に批判するのではなく、デザインの魅力で楽しく変えられないだろうか。北風ではなく太陽のように、子どもが自ずと愛着を持って大切にするように。ワクワクする遊びの面白さ。他にはないオリジナリティ。長期間遊べるように壊れにくくて飽きにくい、考え抜かれた美しい形。適切なサイズ。手触りが気持ちいいい上質な素材と丁寧な加工。親が幼児期に親しんだおもちゃで、20〜30年後に今度は自分の子どもと楽しく遊べたら素敵だなと思います。

デザインを実現した経緯とその成果

■デザインの目標 新規性があり楽しく長期間遊べる自然素材(木と綿布)のおもちゃ。

創意工夫した点  

・木部/幼児の手の大きさの調査と積木遊びの観察から、積木のモジュールは40㎜が最適と導き出しました。(世界の現状も40㎜が準標準です)そして、ぽっぷる木部の厚さを40㎜、直径を2倍の80㎜と積木に合わせたので、たとえ顔を作ることに飽きても次は積木として遊べます。 

・布部/円形にしたことで、木部に差し込んだ時の布の形状がスッキリまとまります。茶色の1アイテムのみにしたのは、女の子は赤、男の子は青などの固定観念を避けるためです。

■成果 3タイプの遊び方ができます。1.「ウサギさんを作るために布をどう使おうかな」と〝創造力〟を働かせる。2.偶然できた布の形から〝想像力〟を働かせ「あっゾウさんだ」。3.木の穴から布を引き出す行為そのものを楽しむ。ですから、赤ちゃんから高齢者まで遊べます。

デザインの改良について

コンペのためのコンセプト・トイ〟から〝遊ぶためのおもちゃ〟へ  

本作「ぽっぷる」は、ドイツ・ジーナ(SINA)社から「OTTIオッィ」の製品名で発売されていたおもちゃを改良したものです。OTTIは、デザインコンペでトップ賞を受賞したおもちゃを、SINA社に仕上げをお任せして製品化しました。コンペ出品作は、自動車展示会におけるコンセプトカーのような〝コンセプト・トイ〟。コンペ審査の時に最大の魅力を発揮すように作りました。ですから、布製の耳鼻パーツの中にあるスポンジが、長期の使用では萎んでしまう弱点がありました。改良版の本作は、スポンジを使わずに布だけなので耐久性があります。また、身の回りにあるハンカチなどを転用することもでき、遊びの幅が広がりました。実は、一枚の布で遊ぶタイプが最初のアイディアでした。ぽっぷるは、サイズ、形状、素材、塗装、全てに妥協せず仕上げました。