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詳細な説明

特許庁 実用新案登録
Patent officeUtility model registered
​Ver.1.3
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一枚の布が、色々な顔に変わる面白さ。

ふろしき、あやとり、折り紙などに通じる

シンプルな形の多様な変化。

1. 遊び方はイプ

Contents

1.遊び方は4タイプ

​2.デザインの目標

3.おもちゃデザインの3タイプ

4.デザインの創意工夫

​5.モチーフ/幼児は顔が好き

​6.サイズ

7.塗装

​8.デザインに託した思い

​0.グッドデザイン審査委員の評価

ぽっぷるは、木製本体の穴に柔らかな円形の布を差し込んだり引き出したりして、様々な形たとえばウサギ、ゾウ、花、人を作って遊ぶ おもちゃです。つぎの4タイプの遊び方ができます。

 

A.想像力で

本体の穴から引き出されて偶然できた布の形を見て、例えば「っゾウさんだ」と想像力を働かせる遊び。

B.創造力で

「ウサギさんを作るためには、布をどう使ったら良いのかな」と創造力を働かせる遊び。(上のような画像を見ながら、布の使い方を工夫して同じ形を作る遊び方も、この項に含めます)

.機能の快/行為そのものを楽しむ
幼くて具象的な形態が作れない子どもは、布を指で
つまんで穴から引き出すだけでも十分に楽しく、この行為を何度も繰り返して遊びます。これは、心理学者ビューラーの唱える「機能の快」として知られる脳の働きによるもの。幼児が「できた!」と感動することにより脳内に神経伝達物質のドーパミンが分泌され「快感」や「意欲」が湧き、「楽しい!」「もっとやりたい!」という意識が生まれるのです。

D.ラー(仏)Bricolage (寄せ集め創作)

付属の布に替えて、身の回りにあるハンカチ、端切れ、ソックス、毛糸の手袋、その他さまざまなモノを本体に組み合わせても遊ぶことができます。これは、フランスの人類学者レヴィ=ストロース言うところのブリコラージュ(寄せ集め創)的な遊びと言えるでしょう。

 

遊び手は、身の回りにある様々なものを思い浮かべたり、直に見たりして、本体にこれを組み合わせたら何ができるだろう、あれではどうだろう、というように「拡散思考」を働かせます。算数のように一つしかないの正解を最短距離で導き出す「収斂思考」に比べて、「拡散思考」は既成概念にとらわれず自由に考えを広げるので、新しい価値を生み出す創造力の源になります。その正解は一つではなく、数人いれば数通りの答えが正しいこともあります。まさに「みんな違ってみんな良い」のです。このような拡散思考を働かせる遊びは、自分の個性を発揮すると共に、自分以外の多様で魅力的な個性の存在に気づき、それを尊重する意識を育むことにつながるように思います。

ぽっぷるで遊ぶ大人とくに高齢者は、手指を動かすことに加えて、上記ブリコラージュ的な遊びにより見慣れた日常の空間を新鮮な視点で見直すことになります。さらに想像力や創造力、美的感覚や機智を働かせることで、脳の活性化が期待できることでしょう。

このように、ぽっぷるは、赤ちゃん、幼児、小中学生、大人から高齢者まで、幅広い年齢の人が楽しく有意義に遊ぶことができるのです。

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ハンカチを使って

2. ンの目標

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図のように基本用件と魅力要件を満たし、楽しく長期間遊べる自然素材(木と綿布)のおもちゃ。

3. もち

機能創造タイプ抽象形・具象形

機能を楽しむおもちゃ。例えば、おもしろい動きをするおもちゃ、新しい遊び方のおもちゃなど。

多くは抽象形をしていますが、具象的な形でも新しい遊びの機能を伴うものはこのタイプと考えます。asobiwingsのおもちゃは、ぽっぷる はじめ今後製品化するもののほとんどが機能創造タイプです。

視覚表現タイプ具象形

自動車、ぬいぐるみ、人形、ままごとセットなどのおもちゃ。おもちゃの機能・遊び方は定まっていて、色や形、表情などの視覚要素が、おもちゃとしての新規性や魅力になるタイプ。

システムタイプ抽象形

レゴやブロックなど、ジョイント部や形体をシステムとしてデザインし、そのシステム機能を使って遊ぶおもちゃ。

(機能創造タイプの一種と考えることもできる)

4. ンの創意工夫

​考え抜かれ形・色・

●木部

サイズ たとえ顔を作る遊びに飽きてしまっても、既存の積木と混ぜて遊べるように、サイズを標準的な積み木に合わせました。(詳しくは「6.サイズ」の項を参照) 

円形 本体正面の形や目・鼻を正円にしたのは、ベビーシェマ(赤ちゃん様式)の働きにより、このおもちゃで遊ぶ人が可愛らしいと感じることを意図してのことです。ベビーシェマとは、動物行動学者コンラート=ローレンツが名付けた概念で、丸い顔、大きな瞳、ふっくらした頬など赤ちゃんの形態的特徴のこと。人はベビーシェマを本能的に可愛らしいと感じるのだといいます。さらに、円柱は角柱などに比べて手に馴染みやすく持ちやすい上に、万一、体に強く当たっても角がある立体と比べてより安全です。

円筒 布を本体の穴から外側に引き出して形態を作る際、余分な布を円筒内側の空間に収めて、外観をすっきりと美しく見せることができます。

底面 本体の下部の平面部を下にして棚などに置けば、作った動物の顔などの形態を、眺めて楽しむことができます。

●布部

 円形にしたのは、正方形などに比べて方向性が無く、中心から外周部への長さが均等なため、木部の穴に差し込んで何らかの形を作った時に、布の外周部の形が視覚的に繁雑にならず、自ずと形態としての一体感を持つ美しいフォルムになるからです。

色 男の子のモノは青色、女の子は赤色」などの固定観念を避けるために、本製品は赤色ギンガムチェック1種のみにしました。赤以外の色を使いたい時は、ハンカチや端切れを用いてください。

サイズ 布の直径は本体正面の直径の4倍の長さにしました。これより大きくすると、布を本体に挿入して任意の形態を作った時、布が余ってはみ出してしまいます。反対に、本体直径の4倍より小さいと任意の形態を作ることが難しくなります。

5. モチー/幼児

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ガラガラe.jpg

ちゃんリサーチ (ねもと友人の赤ちゃんの誕生から3歳まで成長する過程を、ビデオ映像に記録し観察)

​顔の描かれおもちゃをじっと見つめていました。

心理学者ファンツの実験
​赤ちゃんは顔のパターンを最も長い時間見つめることから、顔に興味があることがわかります。
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頭足人3.png
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頭足人(とうそくじん)

子どもは成長の過程で、顔に手足をつけた〝頭足人〟を描きます。

顔と手足に関心があるので、表現として現れるようです。
ぽっぷるで遊ぶときも同じ意識なのかもしれません。

このように、円形の顔部だけぽっぷるは、
発達心理学的にも幼児の遊びに適した形態と言えるで
しょう。

​左/3歳児、右/4歳児が描頭足人

この〝頭足人〟のような布の組み合わせは、
この子が自由に遊んでいるときに、自発的に作った形です。

​試作で遊ぶ様子を観察し、デザインの一部を修正しました。

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6. サイズ

たとぽっぷるで顔を作る遊びに飽きてしまっても、積木と同じサイズなら、木に混ぜて遊べます。では、その積木のサイズは何㎜が良いのでしょう?

ジュールmodule

●日本建築における畳のように、全体を基本寸法の倍数で構成するときの、その基本寸法。

 

電子回路や機械構成に一定の機能をもたせてブロック化・ユニット化したもの。

機械の歯車の直径(㎜)を歯数で割った値。

​積木の基本寸法/モジいろいろ

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モジュールる積木が混ざると

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モジュール2.jpg
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木を買い足す時にモジュールを変更すると、
今まで持っていた積木と混ぜて遊びにくい。
古い
木は使わない? 捨てる?

このように途中で積木モジュールを変えると

ッチングコストが発生します。

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だから、積木を買い足す時は、
持っている積木と同じモジュールにしなければ‥‥。

このように最初の積木のモジュールに

ロックインされてしまいます。

経済学の用語

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​ですから、
積木
めから最適のモジューびたいですね。
ではどのモジュールが良いのう?

​年齢に、の大きさ積木の関係を調べてみました。

​幼児の手指の長さ

幼児手サイズ.png

A.手長

年齢 男子 女子

1    96   95

2  104 104

3  112 110

4  118 115

5  123 121

6  130 129 

- - - - - - - - - - - - - 

手首のシワから中指

先端までの距離(㎜)

B.第二指長

年齢 男子 女子

1    37     37

2    40   40

3    42   42

4    44   44

5    46   47

6    49   49 

- - - - - - - - - - - - - - -

人差し指の付け根シワ

から先端までの距離(㎜)

C.握り内径

年齢  男女

1   18

2   21

3   23

4   25

5   26

6   30 

​- - - - - - - - - - 

親指と人差し指

で作る輪の内径

下記の資料を抜粋引用、調整、再構成した。

​(寸法は小数点以下四捨五入)

A.B.一般社団法人 人間生活工学研究センター2005〜07 人体寸法調査

C.八藤後ら 2003 建築安全計画のための調査

​年齢  の大きさ積木の関

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ねもといさむ/プレイワーク子どもの創造アトリエ 2007

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​観察/積木あそ

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様々なモジュールの木で遊ぶ様子を観察しました。

45は、4歳以下の子の手には、やや大きく、積み上げて作った立体も、私には視覚的に大味に感じます。

4045㎜を比べると、長さは1.125倍で差は僅かでも、体積では1.42倍と大きな違いがあります。

30繊細な感じの立体を作れますが、崩れやすい面もあり、小さな子が積み上げることはやや難しいようです。

これらを総合的に考えると40の積木が、各年齢の子が持ちやすサイズのように思います。​また、40㎜の立方体は、誤飲心配がサイズです。

幅広い年齢の幼児が持ちやすいサイズは40㎜。

そこで、
ぽっぷるを、
40ジュールでデザインしました。
厚さは40㎜、直径はその2倍の80㎜です。

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7. 塗装

数年にわたり様々な塗料と塗装方法を試行し
最良の組み合わせを見出しました。

テストしたのは、日米欧各社の自然オイル、溶剤系ウレタン塗料、水性ウレタン塗料、1液性、2液性、無塗装。ツヤあり、五分ツヤ消し、七分ツヤ消し、全ツヤ消し。
塗装工場への外注では、三度試し塗りをしましたが、様々なことを思うようには試せません。また、現場でしか分からない塗装法とその効果についての微妙な判断もできません。

そこで、塗装用具一式(コンプレッサー、スプレーガンなど)を購入し、私のアトリエに塗装ブースも整えて、様々な塗料をテストしました。さらに、塗料メーカーにも詳細を問い合わせ、熱意を持って高度な知見を分かりやすく説明してくださる方に出会いました。
このような試行錯誤を経て、最良と思える塗料と塗装方法を見出すことができたのです。

安全で美しい塗料
水性 2液型 ポリウレタン塗料

透明 無黄変タイプ 
何年経っても美しい透明な塗膜を保ちます。
(茶色っぽく変色しません)
見ただけでは無塗装と区別がつかないほどの
透明性(塗料の性質と塗り方の工夫による)。

つや消し 
通常は、配合されたツヤ消し剤のためか、乾燥後に触ると油のようなスベスベ感が指に移ります。(溶剤系に多いようですが水性でも) この現象をいくつかの工夫により、ほぼ無くしました。

食品衛生法(厚労省)適合
乾燥後の塗膜を舐めても安全です。
環境や人体にやさしい 水性塗料
石油系溶剤を使わないので、塗装時の溶剤揮発による環境や人への負荷がありません。

丁寧な塗装

気持ちの良い手触り
「木製おもちゃの塗装は、こんなもんだ」という常識を大きく超えた丁寧な仕上げ。何度も触りたくなる気持ち良さです。
高性能スプレーガンで塗装
従来は、水性ポリウレタン塗料はスプレーガンが使用できない、とされていました。本品ぽっぷるは、スプレー塗装で美しく仕上げました。

8. ンにた思い

有り余るおもちゃ

幼児が所有するおもちゃを調査して驚きました。どの家にもおもちゃが溢れかえっていたのです。「こんなにたくさん必要なの?」「商業主義に踊らされていない?」「飽きたら捨てるファーストトイ?!」

量より質、おもちゃに愛着を

この現状を、デザインの魅力で楽しく変えられないだろうか。北風ではなく太陽のように、子どもが自ずと愛着を持って大切にするように。ワクワクする遊びの面白さ。他にはないオリジナリティ。長期間遊べるように壊れにくくて飽きにくい、考え抜かれた美しい形。適切なサイズ。手触りが気持ちいいい上質な素材と丁寧な加工。ぽっぷるの顔は、大げさな表情を避け、飽きのこない抑制的な表現にしました。

選び時間的展望

ある社会心理学の研究によれば、日本人は欧米人より長期的な視点で考える「時間的展望」が苦手なようです。だから、おもちゃを一時の興味で買って、すぐに飽きてしまうのかもしれません。例えば、1個1万円のおもちゃも、それで10年間遊べれば1ヶ月あたりの費用は80円余りで、決して高くはありません。幼児期に親しんだおもちゃで、20~30年後に今度は自分の子どもと楽しく遊べたら、素敵だなと思います。

ンコンのための    

コンセプト・トイから

「ぽっぷるは、私ねもとがデザインし、ドイツ・SINA(ジーナ)社からOTTIオッィ」の製品名で発売されていたおもちゃを改良したものです。OTTIは、デザインコンペでのトップ審査委員クルネフ/naef(ネフ)社 創設者を契機に、SINA社から製品化していただきました。

コンペ出品作は自動車展示会におけるコンセプトカーのような〝コンセプトイです。コンペの審査時に最大の魅力を発揮すように作りました。ですから、布製の耳鼻パーツの中にあるスポンジが、長期の使用では萎んでしまいます。改良版の本作は、スポンジを使わずに布だけなので耐久性があります。また、身の回りにあるハンカチなどを転用することもでき、遊びの幅が広がりました。実は、この一枚の布で遊ぶタイプが、最初に思いついたアイディアなのです。

 

「ぽっぷる」は、サイズ、形状、素材、塗装、全てに妥協せず仕上げました。

​愛着を持って末長く遊んでいただけたら幸いです。

GOOD DESIGN AWARD 2021 

審査委員の評価

穴が空いた円筒状の木の穴に、丸い布を絡ませることで様々な動物の顔や人の顔が作れるというシンプルな仕組みのおもちゃ。単純で優しい素材の組み合わせながら色々な顔が作れる意外性と子供の想像力を伸ばすような能動性を刺激する点などが評価された。ハンカチや端切れ布などカスタマイズして長く遊べるような遊び道具としての余白も魅力の一つとして注目された。

担当審査委員 佐々木 千穂   色部 義昭   倉本 仁   橋倉 誠  

9.

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